目標利益額の算定基準
利益計画は目標利益額を設定することから始まります。
目標利益額を算定するために4つの基準があります。
- 投下資本額を基準にする方法
- 労働分配率を基準にする方法
- 資金計画を基準にする方法
- 利益処分計画を基準にする方法
(1)投下資本額を基準にする方法
投下資本額を基準に目標利益額を算出するには、
総資本額または自己資本額に利益率を乗じます。
例: 総資本額が8,000万円 利益率が20%の場合
目標利益額=8,000×20%=1,600
1,600万円が目標利益額となります。
実務では、
総資本額として、
計画年度(当期)の期末資本額(予測額)、
利益率として、
同業他社の総資本対経常利益率
または自己資本対経常利益率
を使って算出することが多いです。
(2)労働分配率を基準にする方法
労働分配率は、
\(\displaystyle 労働分配率=\frac{人件費}{粗利益(総利益)}\)
で計算します。
小売業の場合、労働分配率は他の業界よりも高い状況にあります。
そこで、労働分配率が上昇しないように目標利益を算出することで、労働分配率の上昇に歯止めをかけます。
労働分配率を基準にする目標利益額は、労働分配率から、利益率を定め、目標利益額を算出します。
例: 労働分配率=40%、その他経費=35%、利益率=25%とし、荒利益(総利益)=8,000万円の場合
目標利益額=8,000×25%=2,600(万円)
2,000万円が目標利益額となります。
資金計画を基準にする方法
資金計画を基準にする場合とは、利益の中から借入金を償還することを基準にし、必要となる返済額を算出します。
借入金の返済限度額は利益と減価償却費の合計額とするので、
借入金返済額=利益+減価償却費
となります。
例: 借入金返済額が1,000万円、減価償却費が400万円の場合
1000-400=600(万円)
600万円が目標利益額となります。
ただし、税金を考慮に入れるとこれは税引後当期利益が600万円ということです。
税率が50%であるとすると、
600÷50%=1,200 (万円)
税引前当期利益は1,2 0 0万円となりますので、
目標利益額は1,2 0 0 万円となります。
利益処分計画を基準にする方法
每期必要とされる株式配当と社内留保利益の合計額を目標利益額とします。
例:株式配当=500万円、社内留保利益=1,200万円の場合
目標利益額=500+1,200=1,700(万円)
1,700万円が目標利益額となります。
まとめ
目標利益額を算出するのに必要となる情報としては、
- 総資本額
- 計画年度の期末資本額
- 利益率
- 同業他社の総資本対経常利益率
- 自己資本対経常利益率
- 労働分配率
- 人件費
- 粗利益(総利益)
- 借入金
- 税率
- 株式配当金
が挙げられます。