オーバーストア現象
店舗が過剰に存在することをオーバーストア現象と呼ぶ。
オーバーストア現象が発生すると、大型店の過当競争や地元の中小小売店の転廃業が起きる。
バブル経済期に出店ラシュが起きたが、バブル崩壊によって消費の落ち込むが発生し、オーバーストア現象が発生した。
この結果、小売業が衰微することになった。
ただ、この原因はオーバーストア現象だけではない。
適切な価格戦略が行われず、競争戦略が適切でなかった部分もある。
5つの競争要因
アメリカの経済学者Michael Eugene Porter(M.E.ポーター)が挙げた競争が激化する5つの要因を示す。
- 新規参入の脅威
- 既存競争業者間の敵対関係
- 代替製品からの圧力
- 買い手の交渉力
- 売り手の交渉力
新規参入の脅威
一定の商圏内に新たな小売店が参入すると、既存店との間に競争が起きる。
その商圏内の企業間の競争が一層激しくなる。
参入によって得られる利益が、参入コストを上回るとき新規参入が起こる。
技術の革新が起きると、新規参入のコストがさがり、新規参入の脅威が増加する。
既存競争業者間の敵対関係
なんらかの理由で、既存競争業者の同業他社同士の競争に拍車がかかり、最終的にすべての競争業者が苦境に陥る。
代替製品からの圧力
米とパンのように、米の代替品のパンが売れるようになると米が売れなくなるため、パンと米の競争が発生する。
買い手の交渉力
小売業にとって買い手である、消費者が小売業の価格や品揃えをじっくり比較して購買するようになると、小売業者間の競争が激化する。
売り手の交渉力
小売業にとっての売り手であるメーカや卸売業がなんらかの理由で強くなると、小売業への仕入れ価格が高くなり、逆に売りてが弱くなると仕入れ価格が安くなる。
この仕入れ価格の変化によって、小売業間の競争が発生する。
3つの基本戦略
ポータ教授は、これらの5つの競争要因を提示し、さらに、この競争要因に適切に対処しすることが競争戦略と考え、下記のような定義づけをしている。
競争戦略とは、「一定の業界内において防衛可能な地位を築き、5つの競争要因に適切に対処し、企業の投資収益を大きくするための攻撃的、または防衛的アクション」である。
ポータ教授がこれらの競争要因に対処する基本戦略として3つの戦略を挙げた。
- コストのリーダシップ
- 差別化
- 集中
コストのリーダシップ
業界内でコスト面において圧倒的に優位に立つ。
超低コストの経営を実現すると、新規参入者が登場しても、既存競争業者間での競争が激化しても安定的に収益をあげながら相手を打ち負かすことができる。
差別化
他社がまねをできないような製品(サービス)を作る。
ブランドの差別化、品ぞろえの差別化、顧客サービスの差別化も含む。
集中
企業の経営資源を一箇所に集中する。
集中戦略もさまざまな種類がある。
例
出店エリアでは、ドミナント出店(ある地域に集中して出店)する。
品ぞろえでは、品ぞろえの専門家である。
関連書籍
Competitive Strategy(競争戦略):マイケル・ポーター教授
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