食品業界にある商慣習
食品業界で取り扱う商品(飲食料品)は、自然に商品の価値が低下する日販品がほとんどですから、商品が販売可能な期間が必然的に設定されます。
また、消費者も、期限表示には敏感で、賞味期限や消費期限を確認して商品を購入しています。
賞味期限:味が落ちているものの、消費期限内であれば安全に食べることができます。
消費期限:安全に食べることのできる期限ですから、食べないほうが安全です。
ということは、賞味期限はその期限を過ぎるとお店に置くことのできない最終日付になります。
3分の1ルール
製造日から賞味期限までを3等分し、製造日から小売業への納入期間、小売業が消費者へ販売する期間、消費者が消費する期間に割り当てて商品を販売する方法です。
なんと、消費期限ではなく賞味期限で期間を設定し3等分しているところから、問題扱いされています。
賞味期限が過ぎた商品が廃棄によって店頭から姿を消しているのです。
ゆえに、3分の1ルールは悪習慣だともいわれることがあります。
欠品ペナルティ
消費者も賞味期限や消費期限に高い関心を持っているため、「3分の1ルール」は結構有名です。
しかし、食品業界には、3分の1ルール以上に強烈な「欠品ペナルティ」ルールがあります。
それは、製造メーカが小売業から発注を受けた数量が納品できなかった場合、小売業は販売ロスをうけたとして製造メーカにペナルティを課すことができる制度です。罰金です。
必ずしも適用されるとは限りませんが、豆腐など山のように捨てられている背景に、「欠品ペナルティ」の問題が挙げられているのです。
製造メーカは欠品ペナルティ(欠品粗利補償金)を受けまいとして、多めの製造を行うのです。これでモノ余りの土壌が広がっています。
結果的にこのルールがあることで、過剰な生産が発生し、廃棄される商品が増加しています。
多めに製造する背景
製造業者としては、
- 今後の販売契約を失わないため、
- 競合メーカーに販売機会を取られないため、
- 欠品を防止するための製造数を確保する
ということになりやすいのです。
食品ロス
本当にもったいない話です。
顧客の事を思えば、こういった発想が生み出された商習慣ですが、マクロ的にみれば、悲劇です。
もったいない話ですが、それだけモノが有り余っているとも言えます。
もともと、消費しきれないほどの量が生産されているのです。
また、それらの余剰商品が捨てられても消費者は捨てられているという感覚には鈍感です。
さらには、消費者自体が、未開封のまま捨ていている実態もあります。
消費者は、食べきれないほどの商品を購入しているのです。
こういった無駄な製造、廃棄をなくすことによって、もっと資源の使い方が効率良くできるはずですが、業界、流通、消費者の単独による努力ではなし得ない問題であって、こういった問題こそ政治的なアプローチが必要であると言えます。
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