QRからECRそしてSCM
アパレル業界で発展したQR(クイックレスポンス)は他の業種へ拡大するようになった。
アメリカの食品業界団体であるFMI(アメリカ食品マーケティング協会)によって提唱された概念がECR(Efficient Consumer Response)である。
ECRは、効率的消費者対応と呼ばれる。
ECRは、QRの概念を食品流通の領域に適用したものである。
その基本コンセプトは、
- 効率的品揃え
- 効率的在庫補充
- 効率的プロモーション
- 効率的商品導入
という4つの目標を実現することである。
SCM
SCMとは、サプライチェーンマネジメント(Supply Chain Management)の略称である。
サプライチェーンの全体最適を実現するための管理手法である。
それは、構成企業間で取り交す情報をベースに、統合的に管理する。
SCMの導入は、
- 生産から供給までのリードタイムの短縮
- 在庫削減
- 欠品防止
を目的とする。
流通業界の自動補充システム
SCMを推進するためのポイントとして、自動補充システムがあげられる。
サプライヤーから物流センターへの商品補充は、需要予測に基づいて自動補充が行う。
物流センターから小売店等への商品補充も、需要予測に基づいて自動補充が行う。
小売業のマーチャンダイジング計画も需要予測に基づいて立てる。
SCMを推進する企業にとって、自動補充システムを稼働させるためには、需要予測の精度は重要な課題になる。
需要予測・自動補充システム
サプライヤーが、販売データや在庫データから需要予測を行い、物流センターや店舗への過剰な出荷や在庫を減らす。それによって、物流コストを削減する。これを目的としたシステムの事を需要予測・自動補充システムと呼ぶ。
需要予測・自動補充システムは、「CRP」と「CPFR」の2種類に分類される。
CRP(Continuous Replenishment Program):連続補充方式
サプライヤーが管理するVMI(Vendor Managed inventory:ベンダー主導型在庫管理)の1種。
VMIとは、サプライヤーが小売業の在庫管理を行う方式のことである。
小売業で入力されたPOSデータから得られる販売量をサプライヤーが把握し、需要予測し補充が必要と判断された場合には、小売業から物流センターへ自動的に発注がかかる。すると、物流センターの在庫量が減少することになるが、この時さらに自動的に物流センターからサプライヤーへ自動的に発注がかかり、サプライヤーから出荷される。
こうした一連の手続きをサプライヤーが管理する方式をCRPと呼ぶ。
CPFR(Collaborative Planning Forecasting Replenishment):共同需要予測・補充
JMI(Joint Managed Inventry)とも呼ばれる。
CRPがサプライヤー手動なのに対し、CPFRは小売業とサプライヤーが共同して需要予測する。
また需要予測には、実際に小売業で売れた商品の数だけでなく、将来の販売計画を加味して需要予測を行う。
これは、参加各社が共同で需要予測や販売計画をすり合わせることで、実需だけでなく、キャンペーンなどで販促されるであろう商品の販売予測も含めて需要予測を行い、在庫不足が生じないように調整される。
西友は、米ウォルマート式の自動補充システムを導入し、売れ筋商品の欠品をなくすようにしている。
Web-EDI
企業間の注文書などのデータをやり取りをネットワークで接続されたコンピューターによって、電子的に行うことをEDIと呼ぶが、そのネットワークは専用線やVANが利用される。
Web-EIDはWebをつかったネットワーク回線を使うため、専用線やVANに比べて安価に実現される。資金力が脆弱な中小企業であっても容易に導入が可能である。
e-マーケットプレイス:電子商取引市場
企業対企業( B to B )の取引を電子的に行う市場のことをe-マーケットプレイスと呼ぶ。
つまり、e-マケットプレイスでは、Webサイトを通じて、売り手と買い手が直接取引を行える。
通信には、Web-EDIが使われる。
部品や資材などの取引が中心となっている。
この原型はウォルマートであった。これは、ウォルマート傘下の小売業とサプライヤーとの間の取引をWeb-EDIで取引できるようにした市場であった。
2000年に設立されたGNX(Global Net Xchange)とWWRE(World Wide Retail Exchange)は会員正で複数の企業が傘下できるオープンなe-マーケットプレイスである。
e-マーケットプレイスを通じて世界各国のサプライヤーが取り扱う商品の中からベストプラクティス商品を調達することを、グローバル・ソーシングという。
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